
位置づけは、現在進行中の令和2年度市民後見人養成講座フォローアップ研修を兼ねていますが、当法人の会員、市民後見人として活動されている方、東三河地域の社会福祉協議会の職員さん等、当日のスタッフを含めて、38名が会場に参集くださいました。会場定員自体を50名以下に設定し、来場時、検温、手指消毒、一人につき1テーブルを配置する等、コロナ禍の感染症拡大防止の対応を十分図りました。
また、こうしたフォーラムへの出席を制限されている方にはZOOMでの中継及び視聴参加を試験的に導入し、6名の方が参加くださいました。
今回のテーマが「法人後見のいろいろなカタチ」としましたので、東三河地域ではない地域を考え、名古屋市社会福祉協議会権利擁護推進部、名古屋市成年後見あんしんセンター次長の高橋健輔さん、尾張東部権利擁護支援センターセンター長の住田敦子さん、当法人から代表理事の長谷川卓也さんを登壇者としてお願いしました。

フォーラムの進行は、私、工藤が担当しました。

初めに、私より養成講座で担当した「市民後見人のすすめ」という講座資料の抜粋から、裁判所や研究者がどのように市民後見人を捉えているのか。市民後見人の活動の形態@単独選任型、A複数選任型、B監督人選任型、などがあることを紹介させていただきました。
その後、それぞれの登壇者から自己紹介と所属法人、センターの紹介をいただきました。
高橋さんからは、「名古屋市における市民後見人の活動」についてスライドをもとに、名古屋市における成年後見に関する取り組み、あんしんセンターの事業内容、養成講座の過程等の紹介をいただきました。
住田さんからは、尾張東部権利擁護支援センターにおける市民後見推進事業の取り組みについて、スライドをとおして、尾張東部地域の状況から、市民後見人に関する検討の場の具体的な取り組みや受任状況と市民後見人養成研修の実績と流れ等の紹介をいただきました。
長谷川さんからは、当日配布資料の「法人後見の状況」をもとに、当法人が設立されるまでの過程から、現在の受任の状況や養成講座について紹介をいただきました。
それぞれの紹介の中でも、市民後見人の養成や、権利擁護支援の担い手に対する関わりがあることをお聞きすることができたのですが、各登壇者より「市民後見人の活動内容と期待すること」について教えていただきました。
ご本人ひとりひとりに寄り添いながら支援している、市民後見人さんの共通性があることがわかりました。また、地域の実情に応じながら市民後見人さん各人の強み等の状況を活かしながら、一緒になって活動している様子を伺い知ることができました。さらに、市民後見人さんのこうしたご本人への関わり方・活動が他の施設・事業所・病院等の支援者や専門職にも影響を与えることがあることを確認しました。
今回、ご登壇いただいた住田さんは、厚生労働省成年後見制度利用促進専門家会議の委員として、高橋さんは国が実施した、自治体・専門職団体向けの研修講師としてもご活躍されています。
住田さんからは、「意思決定支援」等、ご本人(被後見人等)を中心とした支援の必要性が求められているなかでの本人中心の視点についてお話を伺いました。第三者が本人の意思決定を支援していく際の注意点、特に当事者団体の声をこの意思決定支援の場面にしっかりとひろって対応していくことが重要とされました。市民後見人さんが被後見人さんへ宛てたお手紙の紹介もいただきました。「寄り添う」ことの風景が見えた気がしました。意思決定支援の7原則の内、はじめの3原則がとても重要との説明があり、国の研修として意思決定の講座が企画されているとのことでした。現在、進行中の養成講座でもその学びを深めたいと思います。
高橋さんからは、本日のフォーラムに、社会福祉協議会の成年後見支援センター等の職員さんが参加されていることを念頭に中核機関として大事にされていることなどのお話を伺いました。あんしんセンターさんが中核機関としての取り組みの中で、成年後見制度、意思決定支援、日常生活自立支援事業、権利擁護支援と言われているものをしっかりと広報し、しっかりと相談を受けていくことが大事とされました。成年後見制度も一つの解決策にすぎず、それぞれ各人の相談内容について一緒に考えて、見極めることで、必要であれば成年後見制度に繋げることが重要とされました。また、中核機関の役割とされている、「広報」は市民後見人の方にも協力してもらうことも期待する部分の一つで、それにより、発見されたニーズを「相談」に繋げることができます。どんな支援が必要なのか。どんな後見人がふさわしいのかを検討していく上でも市民後見人さんに期待することが多くあることを述べられました。
充実した1時間30分が「あっ」という間に過ぎさってしまいました。実は、時間が余れば場内での質疑応答もシナリオ(工藤作成)の中には織り込んでいたのですが・・・。
最後にご登壇いただいた御三方にメッセージを一言づついただきました。長谷川さんからは、『何よりも本人を中心において支援することの重要性を再確認しつつ、その支援は専門職より市民後見人の方が優れているかもしれないので、自信を持って、切磋琢磨しながら支援に努めて欲しい。』
住田さんからは、『現在、支援している市民後見人自身が語る場を大事にしてほしい。その語りを聞いた人が市民後見人の活動に感銘を受け、行政等を動かすことにもつながる。地域の中にその活動を広げ、双方向の支援関係の形成に努めてください。』高橋さんからは、当日配布資料(事前に当法人がお願いした法人後見状況表の自由記述欄)に、市民後見人の方に向けて、福祉・医療・介護に携わる方に向けてのメッセージをいただきました。『市民後見、法人後見の強みは、本人に寄り添った後見活動であり、市民感覚を活かした活動を期待し、本人の生活は本人が決める、それを一緒に支援していきましょう』と熱いメッセージをいただきました。
コロナ禍、緊急事態宣言下で、企画・予定はしたものの一体どうなるか、数日前まで不安ばかりでしたが、フォーラムを無事終えることができました。当日、ご出席くださいました参加者のみなさま、会場の設営にご協力いただいた市民後見人のみなさま、フォーラムにご登壇くださいました講師のみなさま、本当にありがとうございました。
アンケートの集計やフォーラムのことは、このブログの他に会報55号(3月発行予定)に掲載します。