2021年02月20日

市民後見人養成講座7日目

先週のフォーラムから連続の講座となりましたが、無事、市民後見人養成講座の7日目を終えることができました。
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フォーラムでも一部の希望者に対してZOOMでの参加をお願いしましたが、今回も一部の受講者の方はZOOMでの参加となりました。

さて、実務研修も4日目を向かえ、具体的な講座も増えてきました。

午前中は「後見業務の実際1」として、家庭裁判所との関わり、後見監督をテーマに、元家庭裁判所書記官の米山昌志氏より、たっぷり2時間のご講義をいただきました。
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法人後見として受任しているケースすべて家庭裁判所によって「監督」を受けています。その「後見監督をする」とはどういうことをいうのか?後見監督とは、「後見人が適切な身上保護と財産管理をしているかの確認をする手続き」であり、その方法、手段として、それぞれの類型で用意されている事務報告書を提出させること等で実施していることをわかりやすく説明くださいました。

実務中に何らかの課題が発生した時の対応方法についても代理権が付与されいる、個人選任の場合と法人後見の事務担当者として活動する場合にわけて活動するよう注意を促され、いずれの場合も相談できるしくみが必要で、センターの職員に聞いたり、裁判所に上申したりと具体的な方法を示しながら一人で抱え込まないことについては自身も共感しながら講義を聴きました。

実際の事務報告書の項目について細かく説明を加えたうえで、その書き方について事例を活用しながら実際に記入もしてみました。事例を読み解きながら、必要な情報を報告書の項目に記載していくことができました。

このブロクには記載しませんが、米山氏が対応してきたお話も伺うことができたいへん興味深い時間になりました。

昼食後、午後1時より、講義時間が1時間と短い時間になってしまいましたが、安形税務会計事務所所長の安形京子 税理士より「税務」-税の仕組みの理解-について講義をしていただきました。
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被後見人等に不利益をもたらすことのないように、財産管理に必要な税務の概要について、税の仕組みを正確に理解することを目的に、後見人等に求められる税の知識について、税金の種類について(所得税・住民税・相続税等)、税金の計算のされ方、確定申告について・・・・。
企画・運営側としては1時間では足りないと猛省。
「令和2年度版 暮らしの税情報」という冊子も受講者及びスッタフ分準備くださいました。調べられるものはもう一度調べ直して税務についての理解を再確認したいと思います。

休憩をはさんで、本日の3コマ目は、「後見業務の実際U」として、後見人としての心がまえについて確認しました。山本さんの進行で、当法人の理事で市民後見人の池田進さんと市民後見人の丸山智子氏に、事例紹介を含めながら、実務の中で大事にされていることをそれぞれご報告いただきました。
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丸山さんは、2010年7月に当法人の市民後見人養成講座を修了し、市民後見人名簿に登録されている方です。当初は責任の重たさを痛感され、市民後見人になるとは思っていなかった。といわれながらも、現在、ご担当いただいている被後見人等の状況と後見人としての関わりや、大事にしていることとして、最低月に1回の本人との面会や、支援者のチーム作りを心がけ情報を共有していること、記録をきちんと作成していこと、毎週のミーティングに出席し、報告をしたことに対してアドバイスがもらえること等の報告をいただきました。
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池田さんからは、「後見人活動をするうえで心得ること」として、『1.どんな立場で活動しているのか意識すること。2.お金に関わる不正は絶対にしない。3.被後見人と仲良くなる。4.大きな心で支援する、5.亡くなられたときどうするのか準備する。』の5点について後見事務するうえで重要な視点についてご教示いただきました。受講者のみなさんも、どの項目も「ウンウン」と頷きながら聞き入っていました。

本日の締めは、定着してきたフィードバックタイムEとして、私(工藤)より、成年後見制度に必要な書類の紹介とグループワーク「外出・買い物好きの花子さんへの対応」を1時間ほど実施しました。
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最初の、成年後見制度に必要な書類については、本日の午前中の講義の復習になったかな。テキストとして活用している「市民後見人養成講座3 市民後見人の実務」を活用し、それぞれの書類について解説しました。受講者の中には、ケアマネさんやMSWさん、相談支援員さんもいますので、本人情報シートについては最高裁の資料を活用しました。テキストには東京家庭裁判所の書式が中心でしたので、受講者の方には、現在使用している、名古屋家庭裁判所の書式をそれぞれ準備しました。定形されている裁判所の書式と、当法人にある、活動記録や小口現金出納帳についても紹介しました。

一通り、必要な書類と書類を裁判所に提出するタイミングについて確認したあと、池田さん、丸山さん、他に聴講されている市民後見人の方も一緒にグループワークをしました。
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テキストの演習課題を用いましたので、全体で読み合わせたあと5分ほど「あなたが花子さんの成年後見人となったらどのような対応を考えるか」を個人ワークとして考えていただいた後にグループごとに検討をしていただきました。

どのグループも活発な意見交流ができました。それぞれグループごとに発表をしていただきましたが、どのグループもまずは「花子さんを中心に考えていること」「花子さん意思は?」「支援者のチーム作りの視点は」と今までの学びが定着されつつある様子を伺いしることがで、企画者としてはニンマリと本日の講座を終えることができました。
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受講者のみなさま、講師のみなさま。ありがとうございました。



posted by 代表理事 at 14:27| Comment(0) | 日記

2021年02月10日

フォーラム「法人後見のいろいろなカタチー市民後見人に期待することー

令和3年2月7日(日)の13時30分から15時まで、豊川商工会議所2階のホールにて、2020年度日本郵便年賀寄付金助成による、成年後見制度利用促進のために市民参加の法人後見をシステムとして地域に定着させる事業のひとつとして、今回のフォーラムを企画・実施しました。
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位置づけは、現在進行中の令和2年度市民後見人養成講座フォローアップ研修を兼ねていますが、当法人の会員、市民後見人として活動されている方、東三河地域の社会福祉協議会の職員さん等、当日のスタッフを含めて、38名が会場に参集くださいました。会場定員自体を50名以下に設定し、来場時、検温、手指消毒、一人につき1テーブルを配置する等、コロナ禍の感染症拡大防止の対応を十分図りました。
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また、こうしたフォーラムへの出席を制限されている方にはZOOMでの中継及び視聴参加を試験的に導入し、6名の方が参加くださいました。

今回のテーマが「法人後見のいろいろなカタチ」としましたので、東三河地域ではない地域を考え、名古屋市社会福祉協議会権利擁護推進部、名古屋市成年後見あんしんセンター次長の高橋健輔さん、尾張東部権利擁護支援センターセンター長の住田敦子さん、当法人から代表理事の長谷川卓也さんを登壇者としてお願いしました。
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フォーラムの進行は、私、工藤が担当しました。
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初めに、私より養成講座で担当した「市民後見人のすすめ」という講座資料の抜粋から、裁判所や研究者がどのように市民後見人を捉えているのか。市民後見人の活動の形態@単独選任型、A複数選任型、B監督人選任型、などがあることを紹介させていただきました。
その後、それぞれの登壇者から自己紹介と所属法人、センターの紹介をいただきました。
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高橋さんからは、「名古屋市における市民後見人の活動」についてスライドをもとに、名古屋市における成年後見に関する取り組み、あんしんセンターの事業内容、養成講座の過程等の紹介をいただきました。
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住田さんからは、尾張東部権利擁護支援センターにおける市民後見推進事業の取り組みについて、スライドをとおして、尾張東部地域の状況から、市民後見人に関する検討の場の具体的な取り組みや受任状況と市民後見人養成研修の実績と流れ等の紹介をいただきました。

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長谷川さんからは、当日配布資料の「法人後見の状況」をもとに、当法人が設立されるまでの過程から、現在の受任の状況や養成講座について紹介をいただきました。

それぞれの紹介の中でも、市民後見人の養成や、権利擁護支援の担い手に対する関わりがあることをお聞きすることができたのですが、各登壇者より「市民後見人の活動内容と期待すること」について教えていただきました。

ご本人ひとりひとりに寄り添いながら支援している、市民後見人さんの共通性があることがわかりました。また、地域の実情に応じながら市民後見人さん各人の強み等の状況を活かしながら、一緒になって活動している様子を伺い知ることができました。さらに、市民後見人さんのこうしたご本人への関わり方・活動が他の施設・事業所・病院等の支援者や専門職にも影響を与えることがあることを確認しました。

今回、ご登壇いただいた住田さんは、厚生労働省成年後見制度利用促進専門家会議の委員として、高橋さんは国が実施した、自治体・専門職団体向けの研修講師としてもご活躍されています。
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住田さんからは、「意思決定支援」等、ご本人(被後見人等)を中心とした支援の必要性が求められているなかでの本人中心の視点についてお話を伺いました。第三者が本人の意思決定を支援していく際の注意点、特に当事者団体の声をこの意思決定支援の場面にしっかりとひろって対応していくことが重要とされました。市民後見人さんが被後見人さんへ宛てたお手紙の紹介もいただきました。「寄り添う」ことの風景が見えた気がしました。意思決定支援の7原則の内、はじめの3原則がとても重要との説明があり、国の研修として意思決定の講座が企画されているとのことでした。現在、進行中の養成講座でもその学びを深めたいと思います。
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高橋さんからは、本日のフォーラムに、社会福祉協議会の成年後見支援センター等の職員さんが参加されていることを念頭に中核機関として大事にされていることなどのお話を伺いました。あんしんセンターさんが中核機関としての取り組みの中で、成年後見制度、意思決定支援、日常生活自立支援事業、権利擁護支援と言われているものをしっかりと広報し、しっかりと相談を受けていくことが大事とされました。成年後見制度も一つの解決策にすぎず、それぞれ各人の相談内容について一緒に考えて、見極めることで、必要であれば成年後見制度に繋げることが重要とされました。また、中核機関の役割とされている、「広報」は市民後見人の方にも協力してもらうことも期待する部分の一つで、それにより、発見されたニーズを「相談」に繋げることができます。どんな支援が必要なのか。どんな後見人がふさわしいのかを検討していく上でも市民後見人さんに期待することが多くあることを述べられました。

充実した1時間30分が「あっ」という間に過ぎさってしまいました。実は、時間が余れば場内での質疑応答もシナリオ(工藤作成)の中には織り込んでいたのですが・・・。

最後にご登壇いただいた御三方にメッセージを一言づついただきました。長谷川さんからは、『何よりも本人を中心において支援することの重要性を再確認しつつ、その支援は専門職より市民後見人の方が優れているかもしれないので、自信を持って、切磋琢磨しながら支援に努めて欲しい。』
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住田さんからは、『現在、支援している市民後見人自身が語る場を大事にしてほしい。その語りを聞いた人が市民後見人の活動に感銘を受け、行政等を動かすことにもつながる。地域の中にその活動を広げ、双方向の支援関係の形成に努めてください。』高橋さんからは、当日配布資料(事前に当法人がお願いした法人後見状況表の自由記述欄)に、市民後見人の方に向けて、福祉・医療・介護に携わる方に向けてのメッセージをいただきました。『市民後見、法人後見の強みは、本人に寄り添った後見活動であり、市民感覚を活かした活動を期待し、本人の生活は本人が決める、それを一緒に支援していきましょう』と熱いメッセージをいただきました。
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コロナ禍、緊急事態宣言下で、企画・予定はしたものの一体どうなるか、数日前まで不安ばかりでしたが、フォーラムを無事終えることができました。当日、ご出席くださいました参加者のみなさま、会場の設営にご協力いただいた市民後見人のみなさま、フォーラムにご登壇くださいました講師のみなさま、本当にありがとうございました。

アンケートの集計やフォーラムのことは、このブログの他に会報55号(3月発行予定)に掲載します。



posted by 代表理事 at 10:34| Comment(0) | 日記